この記事では、ゲームUIデザイナーになるための学習順序と、採用担当者が実際に見るポートフォリオの条件を具体的に解説します。
UIデザイン全般のスキルは身につけられても、ゲーム特有のUI設計——HUD・インベントリ・チュートリアルといった要素——をポートフォリオでどう表現するかは、一般的なWebデザイン転職の情報では補えない領域です。ゲームUIデザイナーを目指しているものの、「どこから学べばいいのか」「ポートフォリオに何を入れればいいのか」が分からず、情報収集の段階で止まってしまっている方はぜひ参考にしてください。
こんな方にオススメ
- ●UIデザインの基礎はあるが、ゲーム業界への転職方法がわからない
- ●ゲームUIデザイナーとして未経験から採用されるためのポートフォリオの作り方を知りたい
- ●学習ロードマップと具体的なスキルセットを整理したい
この記事を読むと…
- ●WebデザイナーとゲームUIデザイナーのスキルの違いが明確になる
- ●未経験から採用に至るための学習順序がわかる
- ●採用担当者が評価するポートフォリオの構成要件を把握できる
ゲームUIデザイナーとWebデザイナーは何が違うのか

UIデザインの経験がある方ほど、「ゲームUIも同じ延長線上では?」と感じがちです。しかし実際には、ゲームUIにはゲーム固有の設計思想が存在し、そこを理解しているかどうかが採用の分かれ目になります。
WebデザインはやってるけどゲームUIって何が違うの?ツールは同じじゃないの?
ツール(FigmaやPhotoshop)は共通ですが、設計の前提がまったく異なります。ゲームUIは「画面の外側にゲームプレイが存在する」前提で設計するので、没入感を壊さないUI設計が求められます。
ゲームUIに特有の設計領域
ゲームUIデザインが扱う領域は、大きくダイエジェティックUI・非ダイエジェティックUI・メタUIの3分類で整理されます。Webデザインにはない概念であり、採用面接でこれを即答できるかどうかは採用担当者にとって重要なシグナルです。
ダイエジェティックUIとは、ゲーム世界の中に物理的に存在するUI要素(例:キャラクターが手にするホログラム地図)を指します。非ダイエジェティックUIはゲーム世界の外側に表示されるHP・ミニマップなどのオーバーレイ要素です。
メタUIは現実とゲームの境界線上にある要素(例:画面端の血のにじみで体力を表現する)に当たります。これらの分類を意識した設計ができることが、ゲームUIデザイナーとしての基礎知識の証明になります。
HUD・インベントリ・チュートリアルの設計思想
ゲームUIの中核となるのがHUD(ヘッドアップディスプレイ)です。プレイ中に常時表示されるHUDは、情報の優先度設計がそのままゲーム体験の質に直結します。Webの情報設計と異なり、「プレイを止めずに読める情報量」を厳密にコントロールする必要があります。
インベントリ画面(アイテム管理UI)は、数十〜数百のアイテムを素早く整理・把握させるための分類・フィルタリング設計が求められます。チュートリアルUIは、ゲームの操作方法を自然な流れでプレイヤーに教えるための段階的な情報開示設計です。これらはWebのモーダルやフォームとは設計ロジックが根本的に異なるため、ゲーム専用の設計経験として評価されます。
UI/UXデザイナーとの役割分担
ゲーム会社では「UIデザイナー」と「UXデザイナー」が別職種として分かれているケースも多くあります。UIデザイナーは画面上の視覚的な要素(ボタン・アイコン・レイアウト・アニメーション)の制作が業務範囲です。
UXデザイナーはプレイヤーの体験全体の設計(情報アーキテクチャ・フローの改善)を担当します。求人票を読む際は、どちらの比重が高いポジションかを必ず確認してください。
ゲームUIデザイナーになるための学習順序

未経験からゲームUIデザイナーを目指す場合、闇雲にツールを習得するのではなく、採用に直結する順序で学ぶことが重要です。学習フェーズを4段階に整理すると、無駄なく最短経路で進めることができます。
PHASE 1:UIデザインの基礎スキルを固める
最初に固めるべきは、Figmaを使ったUIデザインの基礎です。ゲーム会社でもFigmaはUIデザインの標準ツールとして広く使われており、コンポーネント管理・Auto Layout・プロトタイプ作成を一通り習得しておくことが前提スキルになります。
具体的には、配色理論(コントラスト比・ゲームUI特有の暗めの配色設計)、タイポグラフィ(解像度が異なる環境でも読みやすいフォント選択)、グリッドシステム(異なる画面サイズへの対応)を学びます。Webデザインの経験がある場合はこのフェーズは短縮できますが、「ゲーム画面での見え方」を意識した演習を改めて行うことを推奨します。
PHASE 2:ゲームUI固有の設計知識を習得する
次のステップは、ゲーム特有のUI概念を体系的に学ぶことです。最も効果的な学習方法は、実際のゲームを「UIデザイナーの視点」で分解することです。プレイ中に「このHUDはどの情報を優先して見せているか」「このインベントリのフィルタリングはどう設計されているか」を考察する習慣を持ちましょう。
参考になるのは、『The Last of Us』シリーズのダイエジェティックUI設計や、『原神』のモバイル・PC両対応のレスポンシブUI設計事例です。ゲームを素材として、HUD・インベントリ・チュートリアル・メニュー画面の設計意図を言語化する練習が、面接での説明力に直結します。
PHASE 3:ゲームエンジンの基礎操作を習得する
ゲームUIデザイナーは、Figmaで作ったデザインをUnityやUnreal Engineで実装するプロセスに関わるケースがあります。完全な実装エンジニアリングは求められないことが多いですが、エンジン上でUIがどう動くかを理解しているかどうかは採用基準に影響します。
UnityであればUI ToolkitまたはuGUI(旧来のCanvas UI)でのCanvas設計とアニメーション設定の基礎、Unreal EngineであればUMG(Unreal Motion Graphics)でのウィジェット設計を触っておきましょう。YouTubeの公式チュートリアルや、個人ゲーム制作の練習作品を通じて最低限の操作感を掴むことが目標です。「エンジン上での見え方を理解してデザインできる」ことが、エンジニアとの協業でのコミュニケーション力を示す証拠になります。
採用されるポートフォリオの条件

ゲームUIデザイナーの採用で最も重視されるのがポートフォリオです。「デザインセンスがある」だけでは採用に至らず、ゲームUI設計の思考プロセスが伝わる構成になっているかどうかが評価の核心です。
ポートフォリオって、きれいな画面デザインを並べればいいんじゃないの?
それだけでは採用には届きません。「なぜそのUIにしたのか」という設計意図の説明があるかどうかが、採用担当者が見るポイントとして一般に挙げられます。
ポートフォリオに必ず含めるべき要素
各要素の役割を以下に整理する。
| 要素 | 内容 | 評価ポイント |
|---|---|---|
| 設計意図の説明 | なぜそのレイアウト・配色・情報優先度にしたかの言語化 | 思考プロセスの可視化 |
| ゲーム固有のUI種類 | HUD・インベントリ・チュートリアル・メニュー画面のいずれかを含む | ゲームUIへの理解度 |
| コンポーネント設計 | ボタン・アイコン・ウィンドウ枠などのパーツ単位の設計 | 量産・保守を意識した設計力 |
| アニメーション表現 | 画面遷移・アイテム取得エフェクト等の動きの設計(GIFまたはPrototype) | 動的UIへの対応力 |
| 対象プレイヤーの設定 | このUIはどのターゲットユーザーを想定しているかの定義 | UX視点の有無 |
架空ゲームUIをテーマにする場合の作り方
実務経験がない場合は、架空のゲームタイトルを設定してUIを一から設計する方法が最も評価されやすいアプローチです。「このゲームはRPGで、ターゲットは20〜30代のコアゲーマー。ダークファンタジー世界観のため、UIは最小限にしてゲーム画面の没入感を損なわない設計にした」というように、制作の前提条件を自分で設定し、その前提に沿ってUI全体を設計します。
評価されやすいポートフォリオ作品の点数の目安としては、3〜5点が適切とされています。1点あたりの完成度と説明の密度を高めることが、作品数を増やすより優先されます。各作品に「設計コンセプト → 課題設定 → 解決策としてのUI → 制作プロセス」の構成を持たせることで、採用担当者が評価しやすい形式になります。
既存ゲームのUI改善案をポートフォリオにする方法
もう一つ有効な方法が、実在するゲームのUIを選んで改善案を提案する形式です。「○○というゲームのインベントリUIは、アイテム数が増えると視認性が低下する問題がある。そこで〜のフィルタリング設計と〜のソートUIを追加することで問題を解決した」という構成で、問題発見→原因分析→改善提案のプロセスを示せます。
この形式は、実在するUIを素材にするため「ゲームを理解している」という前提を自然に示せる点が強みです。ただし、改善前後の比較を視覚的に明確に示すこと、そして「改善の根拠」を主観でなくプレイヤー体験の観点から説明することが重要です。
POINT
ポートフォリオのNGパターンとして多いのが、「きれいな静止画だけを並べて説明がない」構成です。ゲーム会社の採用担当者は、デザインの見た目だけでなく「なぜこの設計にしたか」の思考を評価します。ビジュアルと説明文をセットで掲載することが採用突破の鍵です。
未経験・異業種からゲームUIデザイナーへの転職でよくある失敗

意欲があっても、アプローチを誤ると内定に至らないケースがあります。よくある失敗パターンを事前に把握しておくことで、準備の精度を上げることができます。
「UIの仕事ならどれも同じ」と考えてしまう
WebデザイナーやアプリUIデザイナーとして実績があると、「UIの知識は転用できる」と考えて、ゲーム特有の設計要素を学ばないまま応募するケースがあります。しかし採用担当者はポートフォリオを見た瞬間に「ゲームUIを理解しているか」を判断します。
Webやアプリの制作実績しかポートフォリオに入っていない場合、書類選考の段階で通過しにくい傾向があります。ゲーム特有のUIを1点でも制作して加えることが、選考通過率を高める現実的な対策です。架空タイトルの設定でも構わないので、まず1点のゲームUI作品を仕上げることを優先しましょう。
ポートフォリオの量を増やすことに注力してしまう
「とにかくたくさん作ればいい」という思い込みから、クオリティより数を優先してしまうケースです。10点の薄い作品より、3点の質の高い作品の方が評価されます。各作品に設計プロセスと意図の説明を加えることに時間を使うべきで、説明のない画像を量産することは採用においてほぼ意味を持ちません。まず1〜2点を「設計意図・コンポーネント設計・アニメーション・対象プレイヤーの設定」がそろった状態に仕上げてから、点数を増やす順序で進めてください。
ゲームエンジンを全く触らずに応募する
Figmaでのデザイン制作に集中するあまり、ゲームエンジンを一切触らずに応募するケースがあります。ゲームUIデザイナーはエンジニアと密に協業するため、「エンジン上での実装イメージを持っているか」は選考での質問頻度が高い項目です。UnityのUI ToolkitかUnreal EngineのUMGを触ったことがあるだけで、面接での説明の説得力が大きく変わります。公式チュートリアルで基本操作を体験し、「どのパラメーターがUIの見え方に影響するか」を説明できる状態を目指しましょう。
- WebUI・アプリUIの実績のみでゲーム会社に応募(ゲームUI制作実績が1点も無い状態での応募)
- ポートフォリオに設計の説明文がない(静止画の羅列で意図が伝わらない)
- エンジン連携の知識がゼロのまま技術面接に臨む
- 求人票の「UIデザイナー」と「UXデザイナー」の違いを確認せずに応募する
ゲームUIデザイナーに求められるスキルセット早見表
採用担当者が評価するスキルを「必須」「あると有利」「プラスα」の3段階で整理します。応募前のセルフチェックに活用してください。
| スキル | 評価レベル | 具体的な習熟目安 |
|---|---|---|
| Figma(UIデザイン) | 必須 | コンポーネント・Auto Layout・プロトタイプが一通り操作できる |
| Photoshop / Illustrator | 必須 | アイコン・テクスチャ・バナー制作が独力でできる |
| ゲームUI固有設計(HUD等) | 必須 | ポートフォリオにゲームUI作品が最低1点ある |
| アニメーション設計 | あると有利 | After EffectsまたはFigmaプロトタイプでの動き設計ができる |
| Unity / Unreal Engine 基礎 | あると有利 | UI実装の基本フローを理解し説明できる |
| UXリサーチの知識 | プラスα | プレイヤーの行動分析・ユーザビリティテストの基礎を理解している |
まとめ:ゲームUIデザイナーへの転職で押さえるべきポイント
ゲームUIデザイナーになるための道筋は、「UIデザインの基礎→ゲーム固有の設計知識→エンジン連携の理解→ポートフォリオ」という4フェーズで整理できます。WebデザイナーやアプリUIデザイナーからの転職でも、ゲーム特有のHUD・インベントリ・チュートリアルの設計を学び、それをポートフォリオで表現することが採用突破の核心です。
ポートフォリオは量より質で、1点あたりに「設計意図」「対象プレイヤーの設定」「コンポーネント設計」を含めた構成が評価されます。3〜5点の完成度の高い作品を、設計プロセスの説明とセットで掲載することが採用担当者の評価基準に合致します。
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